パズル作家になりたい

{こんにちは/初めまして}。初月葉桜(はづきはざくら)です。ペンシルパズルアドベントカレンダーの18日目の担当ということでこの記事を書いています。

 さて、この記事のタイトルの通りですが、実は前々からパズル作家になりたい、という気持ちがありました。公表するのはこの場が初めてになります。というわけで、この記事では「どうすればパズル作家になれるのか」について書くのではないかと思わせておいて、それについてはよく分かっていないので書きません。

 自分の野望はこの記事ではどうでもいいのでおいておくとして、では何を書くのかというと、パズル作家としてパズルを作っていくときに必要ではないかと自分が思っていること、すなわち「こだわり」についてです。自分はパズル作家ではないですし、あくまで個人的な考えなので、一意見として読んでいただければ幸いです。

 なお、この記事では主要なパズルのルールは既知のものとして扱っていますので予めご了承ください。

パズルへのこだわりとは?

 パズルを作るとき、何らかのこだわりを持ったほうがいいだろうということは多くの人に理解してもらえるんじゃないかなと思っています。ただ、こだわりといっても漠然としていて難しいです。なので、この記事ではパズルに対するこだわりみたいなのを自分なりに模索していきたいと思います。

見た目のこだわり

 パズルのこだわりには見た目と中身の2種類があると思っているので、まずは見た目の話からします。

 パズルの見た目に対するこだわりはぱっと見で分かりやすいと思います。本屋でパズルの本を買う前にぱらぱらとめくってみるだけでも、「この問題きれいだなー」と思うことはありますし、解かなくても分かるこだわりといえるでしょう。

 見た目のこだわりの最たるものがヒントの対称配置、と言いたいところですが、数独スリザーリンクカックロ、美術館、フィルオミノなどのように、ヒントの配置が点対称であることが作る側に課せられた暗黙のルールみたくなっています。なので、ただ対称配置で作っただけではあまり見た目のこだわりがあるとはいいがたい気がします。

 もちろんましゅ、ぬりかべ、へやわけなどのように点対称配置が一般的ではないパズルであれば、対称配置にすることで見栄えが良くなったりするでしょう。

 では対称配置以外に見た目のこだわり方がないかというとそんなことはなくて、ほかにもいくつかあると思います。次に思い浮かぶのは人によりけりだと思いますが、例えばヒント数字の統一が挙げられそうです。

 数字の統一、というくらいなのでもちろん数字の出てこないパズルには使えませんが、数字を使ったパズルの割合はそれなりなので有効な手法だといえそうです。

 たとえば、数字を統一させたさしがねがこちらf:id:Hazakura13:20181217181642p:plain

 さしがねは丸と矢印の2種類のヒントがあるので、対称配置と数字統一を組み合わせても中身は対称にならず、単調になりにくい気がします。

 ただ、数字を使ったパズルとはいっても数独カックロナンバーリンクスラロームひとりにしてくれなどは同じ数字ばかり使うことはできないので、ほかのこだわり方が欲しいところです。そこで次に使えそうなのはヒントで形を作ることじゃないかと思います。

 この手法はスリザーリンクでよく見かけるイメージがあります。ヒント数字で円や長方形を描いたり、長方形の角どうしを斜めにつないでみたり、といったような感じです。形というよりかは模様を描く、の方がしっくりくる表現かもしれません。

 円や長方形だけじゃなくて、例えばテトロミノやペントミノ、文字や数字の形にヒントを配置するのもこれに分類できそうです。ただ、円や長方形とは違ってこれらは必ずしもその形自身が対称ではないので、人によってきれいに見えるかどうかは変わりそうです。また、文字や数字はサイズが小さいと書き表しづらくいびつな形になってしまうので注意が必要そうです。

 自分はテトロミノやペントミノはありかなと思っています。文字や数字はきれいに書かれていればいい感じになるような気がします。

 黒マスをを5種のテトロミノ(反転・回転は同じものとする)で配置したスラロームこちら

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 ちなみに中身の話はあとで述べますが、見た目にこだわりすぎるとこの問題みたいにめちゃくちゃ作りづらかったり解き味があまりよくなかったりと悪影響を及ぼすのでほどほどにしましょう。

 ここまで数理系パズルとでもいうべきものを想定して話をしてきたのですが、この辺りには言葉系パズルにも応用が利くものもあると思います。といっても自分は言葉系パズルは数理系パズルに比べてそこまで解かないので軽く触れることにします。

 例えばよみどおりという漢字のパズルがありますが、ニコリのどの号を見てもこだわった作品がいっぱいです。同じ漢字を複数使ったり、ひらがなの配置で単語を作ったりと毎回見ていて飽きません。

 他には、Scrabbleというパズルがあります。ざっくりいうと枠のないスケルトンパズルです。枠がないので基本的にいくつかの文字が初めからヒントとして書かれているのですが、その文字がすべて同じ文字だったり、はたまた盤面の形自体が長方形でなく文字やリストのテーマに関連した形だったりと趣向が凝らされています。

 もう一つ、漢字ジグザグ(漢字カナオレ)というパズルがあります。どっちが正式名称かはわからないですが、名前の通り、カナオレの漢字版です。自分が解いている本に載っている問題には対称形は少ないので、対称形というだけでもきれいなのですが、そのほかにヒントの漢字の配置で模様や熟語が作られているものもあって、作問力の高さを感じます。

 このように、対称配置やヒント数字の統一、ヒントで形を描くことは一部の言葉系のパズルにも応用が利くと思います。

 中身のこだわり

 さて、ここからは中身の話です。見た目とは違って、中身のこだわりは解く前にはわからないですが、だからと言って必要ないということはもちろんないですよね。

 例えばこの橋をかけろ、「90度回転対称で数字も統一されてるしいい問題!」と言われてもちょっと賛同しかねますよね。見た目だけがすべてではないことを示す一例としてはいい問題かもしれませんが。

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  では中身のこだわりって何なんでしょう?これについては見た目の話より抽象的なので正直自分でもあまりつかめてはないのですが、とりあえず「コンセプトに沿って作る」に尽きるような気がします。

 コンセプトの例としては「小ループ禁を多用する」「へやわけで大分断を使いたい」「ましゅのラストで外周ぐるり」 などです。パターンとしては主に「ある手筋・考え方の多用」「終盤に大展開」の2つに分けられそうです。

 前者は後者に比べて作りやすいのではないかと思います。一方で、あまり同じ手筋ばかり多用しすぎると解き味が単調になりかねないので注意が必要です。

 同じ考え方を多用するメリットとしては、多少難しい考え方であってもそれを多用することで解き手の心理的な負担が和らぐのではないかという点が挙げられそうです。難しい手筋でも同じ問題の2回目以降では気づきやすく、進めやすくなるからです。

 というわけで同じパターンを何回か使うスリザーリンクを作ってみました。

スリザーリンク(ぱずぷれv3)

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 作ってみた感覚としては、複数のパターンを複数回使うことで一つのパターンよりは単調さが薄れていいと思います。ただ、パターンの数が増えすぎるとこだわりが見えづらくなるような気もするので、盤面サイズにもよりますがこだわって使うのは2~3パターンくらいがいいでしょう。

 終盤に大きな展開を持ってくるパターンでは、解き手に大きな衝撃を与えることができますし、解き手の印象にも残ります。しかしながら、そのように作るためには、最後の展開までうまく盤面を誘導していかなければならないですし、序盤中盤の解き味が低いと全体の印象もあまりよくないでしょうから、終盤にこだわったパズルを作るのは難しく、量産できるようなものではなさそうです。

 というわけで月か太陽です。

月か太陽(ぱずぷれv3)

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こだわり方によってはこの問題みたいに盤面にもそれがあらわれるので、見た目のインパクトも出すことができます。一方で、しかけの位置が初めからわかっているので、意外性は薄れるかもしれません。

その他

 見た目にも中身にもかかわってそうなこだわりとして、「不要なヒントを置かない」みたいなのもあげられそうです。基本的にここに気を使うのは見た目にこだわるときだと思います。例えばスリザーリンクは点対称配置が基本という話をさっきしましたが、点対称配置で作るとき、「ここに数字を置かなくても決まるのに配置の都合で置かないといけないなぁ」という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。そんな時、どの数字も必要不可欠になるように作りたい、というのがここでいうこだわりです。とはいえ、そこにこだわりすぎると全体の配置があまりきれいじゃなくなる場合もあるので、この点を重要視するかどうかは作る人次第だと思います。

まとめ的な何か

 というわけで、パズルを作る際のこだわりについて見た目と中身という2つの視点から考えてみました。中身についてはあまり深められませんでしたが、少なくとも何かしら考えて作るほうが無心で作るよりいいはずなので、今後もそのあたりを心がけていきたいと思います。

 最後に、自分は4コマ漫画が好きなので、盤面を4つのコマに見立てて、ましゅを作ってみました。実際の4コマを読む順番とは違いますが、領域ごとに順に解けるようになっているかと思います。ぜひ楽しんで解いてください。ではまた。

ましゅ(ぱずぷれv3)

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